2017年11月17日日本の心の源は、
ふるさとには、思い出が詰め込まれている。
誰もが、幾つに成っても自分の生まれ故郷を大事にする。
ここに生まれ出るは、自分の意思などないが、ここに生まれたという事実は、宿縁的なものと取り得るしかない。また何があったとしても存在の事実は、父母とのお蔭である。
そこで育まれ、この地で多くの初の事を学ぶゆえに、その人の基点であり、そこから自分史の刻みが始まる。
生まれ出た家からもまた郷土からも昔からの積もり積もった歴史や伝統があるもの。
その地は、そこに住んだ多くの人の生き様の結晶の総和の文化で、故郷は出来ている。
田舎は、同じ姓が多く集まっていることからも一族等の縁深き人の集まりであると想像できる。
そこに住む日本人の気性・作法・慣習などの文化の元は、ここに住む人々が試行錯誤の結果として大切に残っているもの。
明治の初め民俗学者の柳田国男は、その地の文化を掘り起ししながら伝わる独特の地方民俗を調査した。それは、そこに潜む日本人の考えの元を希求したのだった。当時の地理学者の牧口常三郎や内村鑑三の西洋での郷土論に影響受けた新渡戸稲造・等何人かで「郷土会」を結成。
地に寝むる日本人の魂を研究し民俗学としたのである。柳田は「遠野物語」を新渡戸は「武士道」・牧口は「人生地理学」等を著し、その地に内在している人の心の関係を解き明かしている。
こうした人は、昔のルーツを掘り下げ、何百年前からの地に住む人が、いかに知恵を使い物事が出来てきたかを調査することで郷土を愛し、日本を愛し、しいては、他国も同じであると思った。すべてが、染み込む郷土を持ち、共に平安に生きる人としての生き末(すえ)を、明治から昭和初期にかけての偉人は、常に考えていたことを著に残している。
今に生きる上で大切なヒントとなる。
彼らが、広大な考えや思いも今では、先祖のルーツを辿ると人と人との関係が分かり、やがてその関係は、その地を離れ全国に広がり、やがて世界にまで広がっていき、行く就くところは、アフリカのケニア・タンザニアの草原なのである。自分たちには、到底分らずとも、何年経っても変化しない女性のDNAを辿ると、ここが人間全ての人の究極の故郷であることが現在の世界の考古学者等の見解となっている。
人間は皆兄弟であり、縁ある奇しき関係にあることを知らしめ「セクト主義」に陥らないことこそ、今の世相での大事なことではないだろうか。粋がっても何が得するであろうか。故郷は、いかに生きるかの多くの処世術をはらんでいるのである。(y・k)