2015年12月11日大村智さんに乾杯!
10日にノーベル賞授賞式が、スウェーデンのストックホルムで開かれ、日本からは、大村智さんと梶田隆章さんが受賞された。
大村さんの故郷は、山梨県の韮崎である。あのサッカー選手中田英寿の韮崎高校の大先輩である。
韮崎は、直ぐ後ろの北には、八ヶ岳があり、冬には「八ヶ岳おろし」の風がビュービューと音を立てて襲い掛かり寒さの厳しい所であるが、西には、第2の高山「北岳」のある南アルプスが堂々とそびえ、アルプスの水、釜無川の流れとなり有名なウイスキーの素となっている。南には、あの日本一の霊峰富士山が、全く左右対称な正三角形の山頂に3つの峰が美しく輝いて、富士を見る最高の場所なのである。今時から3月にかけては、夕焼けで赤く染まる雪の「紅富士」をたびたび見られ、何ともいえない神々しいものである。
大村さんは、定時制高校の先生をしていた時、自分と同じ年代の生徒の指が油に汚れているのを見て、急いで仕事を終えて駆けつけて学ぶ姿勢に自分も、もっと努力しようと思い、再び大学に入り自ら挑戦したとのこと。
心を耕すことの意味を学んだという。
大村さんは、おそらく自分の故郷の自然の大切さ、有難さを見に沁みて感じていたに違いない。
だから7日の講演で「人間が抱える課題の答えは、全て自然の中にあるあると信じたことが50年の研究で正しかったことが証明された」と胸を張り言っているのである。
どこでどう生まれようとも、故郷は、安堵する心休まるところである。
大村さんは、故郷から、おそらく心を耕すことの意味を知ったであろう。故郷の地に「大村美術館」を建てたのも、このことからであろう。文化とは、カルチャー(ラテン語)で心を耕すことの意なのである。
同郷の先輩が、このような努力をして世界に冠たる証明したことに感涙抑えがたい喜びである。
吉川英治著「宮本武蔵」にある「あれに成ろう、これに成ろうと焦るより、富士のように黙って、自分を動かさないものに、作りあげろ!」の言葉を思い浮かべた。
まさに、富士山のごとくあの人のマネをしようと思わずに、自分にはいいものがあるのだからそれを出して伸ばすことが大事であると吉川英治は言う。
大村さんも言う「人のマネなどするな」と人生を貫く深淵な信念こそ、あの故郷の大地の中に秘められていたに違いない。(y・k)