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ホームイラストギャラリー300字小説入賞作品の挿画

対話こそ平和の礎である!(平成23年度入賞作品)

その国の国王には息子が一人だけいた。
国王は当然その子が次の国王になると信じて、小さい時から大金をかけて教育した。

ところがその子は十五歳の時、突然「パン屋になって、人々を幸せにしたい。」と言いました。
国王は、怒って「お前が国を継がなければ国がつぶれてしまう。」と許さなかった。

とうとう息子は、国王と絶縁し自分の夢だったパン屋になった。ある時、隣の国と争いになり戦争が始まった。

しかしパン屋になった息子は戦争にはいかず毎日パンを焼き、敵国の兵士達にも配り続けた。
敵国は感動し、やがて戦争は終わった。

パン屋になった息子は国王に言った。
「力だけでは国を守ることはできないよ。」

*講評*

未だ2003年からの米国主導のイラク戦争が、終戦されず世界は、混沌とした状況にあり、又年頭からもエジブト・パキスタン・イラク・モスクワ等で毎日のように自爆テロが発生している。日本では、3・11の東日本大震災が、発生し2万人を超える死者が出ていて、福島の原発での水素爆発で多くの人が避難を強いられている。こうした中での「300字小説」の投稿の中からの最優秀作品である。
ユネスコの創設時の憲章の冒頭にある有名な言葉は、「戦争は、人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦(とりで)を築かなければならない。」「政府の政治的、経済的取り決めのみに基づく平和は、世界の緒人民の一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和が失われないためには、人類の知的および精神的な連帯に上に築かれなければならない。」                                  ※この作品は、こうした憲章で言う事を理解したかのようで、どうして戦争を無くしていくのかを、身近な事象で分りやすい物語としている点が素晴らしい。大きい事でなくとも人々の交流を通して相手を理解して援助協調のでき合う強い絆を結び為政者にものを言える関係を常に創り上げて、暴走をさせないことが大事である。(y・K)