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ホーム心のビタミン

花々のひとりごと

 玄関の扉を開けると、ふわあと花の香りがしてくる。カモミールの香り、ちょっと薬草っぽい。カロライナジャスミンの香りも漂う。裏からは、風に乗って、藤の香りが。

 窓際のスペースには、カモミールに、オルレア、フレンチラベンダー、その中に西洋タンポポまでが参加しての背伸び競争。タンポポに至っては、背が低いままでは、綿毛が飛ばせないと、まるでつま先立ち状態。花の世話をしながら、じっと、脇にいると、花々の声が聞こえてくるような錯覚が起きる。

「今、今って、風が吹いていますよね。この吹いている時が私にとって、一番大事な時なんでーす。皆さん、私にご協力ください。」
 どの花よりも、背を伸ばした甲斐があって、まん丸な綿毛がばらけて、一つ一つ、小さな種を付けて、ふんわり風に乗って飛んでいった。
強い風の日には、
「今日は、まるでジェットコースターに乗っている気分!スリル満点!」
タンポポのはしゃぐ声が響き渡っている。

 背伸び競争に参加しない、マイペース型の花もある。ミヤマオダマキ、ジャーマンアイリス。フリージアは、素敵な香りを漂わせながらも、一定の高さで品性を保っている。
「タンポポさんって、一年中、賑やか!いつもいつも楽しそう。」
「穏やかな暖かい日には、花びらで日光浴。背筋をピーンと伸ばし、体中に太陽のエネルギーを集めているね。」
雨の日にはシャッターを下ろして、濡れないようにしているわね。なんて、賢いのかしら?!」

 タンポポの話題に加わらないけど、静かに聞き役になっている花々も。小さな青紫色の花が輪生している十二単、葛飾北斎の描いた波が押し寄せてくるようなタツナミソウ。背丈は低くても、存在価値あり。

 花の特性は、花の色が異なるように、育ち方も様々。俗世間と一緒。
「ひなたの好きな人」
「お水がいっぱい欲しい人」
「黄色の花の人」
「種をいっぱい飛ばしたい人」
花々も、時には、「フルーツバスケット」を元に、「何でもバスケット」のゲームを楽しんでいるかな?!