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ホーム心のビタミン

くすみカラー

 暇を持て余す一日。思い立って、孫のおもちゃ入れや、おやつ入れを作ることにした。縦、横、マチなどおよその大きさを決め、布を裁ち、仕上げた。
 子どもが小さい頃は、幼児服を作り、保育園や小学生になった頃には、ひたすら給食用ナフキンと袋をセットにして作った。
 カレーライスの日は悲惨だった。
新品のナフキンに、カレーの香辛料の色がべったりと付き、こすり洗いをしても色は落ちない。やっぱり、作ろうとちょっと余裕がある日に、ミシンを引っ張り出し作ったものだった。
 早期保育、延長保育に預けながら、洗濯も毎日。雨降りで乾かない時のために、常にナフキンは、数が必要だった。

 ある時、30代になった娘と給食用のナフキンの話になった。
当然、感謝の言葉が出てくると、少なからず期待をし、話を聞いていた。
「私だけだったんだよね。手作りのナフキンを持ってくるのは。みんな、キャラクターの流行のナフキンや、市販されているものだったんだよ。」
まだまだ、話は続く。
「羨ましかったし、手作りのナフキンが嫌だった。」
それ以上聞きたくない、がっくりした思いでいっぱいになった。手作りのものを持たせたいと、上靴入れから、体操服入れ、習い事用バッグなど持たせていた。
が、当時のことが、全て否定され、単なる自己満足にしか過ぎなかったのかと。   
 娘は、何となく、まずいことを言ったと感じたのか、優しい言葉で、
「一緒に行って、布選びをするとかしてくれたら、良かったんだよ。」
心の中で、つぶやきの声が湧きだしてくるのが分かる。
どこに、そんな余裕があった?!仕事帰りの道、駆け足で店に入って、ぱっとチェックの柄を見つけて、買って、また、駆け足。急いで、夕飯の準備をして・・・。)

 娘は、まだ幼い我が子に、自分好みの服を着せている。今のうちだけだからと言いつつ、「くすみカラー」という色使い。きれいで、鮮やかというよりは、大人が着ても違和感のないくすんだ色の幼児服。上から下まで、くすみカラー。
黄緑系や薄青系だったり、モカコーヒーみたいだったり・・・くすんだ色が、孫が着ていると、良く似合っている。本人が気に入っているかは???

 かつての若い頃の私と、同じことをしていませんか??していますよね!!
手作りに憧れていた私は、ミシンを踏んでいる時、幸せな気持ちに満たされていた。(どんな顔して、給食を食べているかな。) (友達と仲良くね。優しくしてあげるんだよ。)
 あれこれ想像しながら、娘の成長を楽しみに、家事に子育てに励んでいたあの頃が思い出される。(C・S)