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ホーム心のビタミン

「口福」

 毎年、お正月を迎えるにあたって、「おせち」をどうしようという話になる。作る側としては、セットで購入するのも選択の一つだと思い、家族に提案する。勿論、あちこちのパンフレツトを準備して、「第一希望には、これはどう?」と聞くようにした。
「食べたくない。」「冷たいのばかり、いらない。」「温かいのが良いよ。」
 また、今年も注文は無しになった。確かに、以前、珍しいからと中華のお節料理を注文した。冷たい肉団子・エビチリなどきれいに盛り付けてあった。容器から出してしまえば、普段と何も変わり映えしない料理になってしまう。
 冷たい中華を少しずつ取り分けて食べながら、心の中で、愚痴ってしまうお正月だった。

 今年は、干し柿(友人から渋柿をもらい、今年に限って、粉をふいた干し柿に仕上がった)、柚子大根、栗の渋皮煮、あとは、雑煮で新年を迎えた。我が家の雑煮は、焼き餅にして、出汁の中に、小松菜を入れ、食べる直前に鰹節をふりかけるだけのもの。さっぱりとしていて、美味しい。
 三が日も、「茶碗蒸し」「松竹梅の蒲鉾」「出し巻き卵」「ポテトサラダ」「里芋の唐揚げ」「ピザ」「蟹の寄せ鍋」「唐揚げ」「五目豆」など、その都度、ちょっとだけ正月らしいものを並べ、他は、食べたいものを作る。全く気ままなお正月料理を味わった。

 「里芋の唐揚げ」は、我が家の誰もが喜んで食べてくれる定番料理。予め、里芋の煮物を作っておき、ザルにあけて、水分を取り、片栗粉をまぶして、油で揚げるだけ。醤油に、ちょっと甘みも加わり、里芋にまぶした片栗粉がカリカリした食感なのが嬉しい。思わず、「美味しい!」と言いたくなる。
 主人は、「畑で作った里芋は、美味しいなあ。」豆も、同じく、「家で採れた大豆は、美味しいなあ。」と言う。
 我が家の料理人としては、(味付けの仕方が上手だから、美味しいんだよ。どうして、それがわからないのかなあ。いつもいつも。)と聞くたびに口答えしてしまう。主人は、やはり、暑い夏も、畑で里芋の土寄せをした自分を褒めたい気分、埃だらけになりながら、枯れた鞘から、大豆を取り出す、虫に食われていない豆を選別する大変さを思い出しながら、五目豆を食している。

  客観的に見て、どんな理由付けであっても、「美味しい」と言ってくれたら、やはり、大満足しなきゃ!
 無農薬で手間暇かかった野菜は、確かに美味しい。まさに、「口福」である。
 「五目豆」の中で、主人は、大豆、人参を大目に盛り付ける。私は、ごぼう、昆布、蒟蒻を多めに、それぞれに好みが違って、有難い。
                              (C・S)