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世相と人権ーーいまなぜ「佐久間象山」か?

 今の日本は、危機的状態になってきている。
政治と経済の混迷の中、人心はより自己防衛に走る、エゴイズムが広がる環境にある。
 人権の保持は、こうした状況下では、難しくなる。
生きる上での本能的防御が内側に働き、ゆとりがなくなるからだ。
人のことを考えておれなくなるからだ。自分・家族・親せきと縁の深い人の
塊化が起こってくる。
こうした時、市民の気持ちを少しでも和らげる行政的動きが大切となる。
ぬくもりある潤滑的な行動である。
行政では、福祉・人権・文化・生涯学習等がこのタスクを担う。

 特に「人権は、この根幹をなすものであり、このことを発揮できるにふさわしい
人柄と教養そして情熱が大切で、より市民に接した人権をーー。」という。
こうした市の方向は、正しい。

幕末の日本と今は似ていると、多くの知識人は言う。幕末で多くの人材を育てた
佐久間象山の考えを今流に言うと大要次のようである。

「その渦中でうごめいてしまうと、先が見えなくなる。引き潮の勢いにどうしても
負けてしまうものだ。
奈落の底にひきこまれていく姿をいったいだれが救えるのか。
今、やむにやまれず起こるその胎動が、新しい潮流となって既成なものを改革しようとしている。

 改革とは、既得権益をなくすことだ。
永年の中で生み育てられた一部の人が、うまい汁を容易に受けられる関係組織である。
 邪な知恵ある傲慢な人が、民衆を愚弄してつくった組織である。
その内実は、自分たちだけが、ぬくぬくといられるカルテ的な構造に仕上げているのである。

真に何が、人(民衆)のためになることかを忘れて、自分達の立ち位置のみに固執していることである。

今こそ、この構造を変えて公平・公正な社会を再編するしかない。これが民衆の心なのだ」

「一方、流れを読み取れない人も多くいると思う。大きく変わることは、どうなるか心配だからである。
既成のものを改めることに抵抗感が出るのが人の思いである。
その心根は、だれかが何かをしてくれるという他力本願の心ゆえかもしれない。
良いとか悪いとかしか言わない評論的な従の考えが根にあるからかもしれない。
またその中に、身を置くことが、できにくい制度がそこにあるからだ」

組織の延命でなく、何をやってどう貢献しているから今組織があると言うことが本命なのである」

 佐久間象山は大要このように考えて、人権で言う「人が人らしく幸せに生きていける社会」
を吉田松陰・坂本竜馬・勝海舟・小林虎三郎(米百俵の逸話人)・加藤弘之(東大総長)他多くの逸材を育て近代日本に作りかえたのである。象山の心が今こそ大事な時である。(y・k)